ことばブログ

吃音を中心に、「ことば」について心理言語学や認知神経科学の立場からいろいろなことを考えています。

吃音メモアプリ『Hanaso』がリリースされました!

昨日リリースされた吃音メモアプリ『Hanaso』のご紹介です。

このアプリは吃音のあるお子さんをお持ちのナガセサオリさんが始められたプロダクトで、クラウドファンディングによる支援をもとに今回のリリースに至りました。

実はクラウドファンディングの実施にあたりナガセさんより監修の依頼を受け、内容について言語聴覚士として監修をさせていただいたのですが、このアプリのリリースには紆余曲折あり、平坦な道ではなかったので、僕としてもとても嬉しく思っています。

『Hanaso』とは?

吃音メモアプリ『Hanaso』は、現在未就学の吃音のあるお子さんの支援方法として多くの医療機関で実施されている環境調整法やリッカムプログラムで行う、吃音の重症度評定をスマートフォンで簡単にできるようにしたものです。

幼児の吃音臨床を始めて以来この重症度評定は取り入れているのですが、従来の紙ベースでは毎日の記入が億劫になり記録が続かなかったり、記録したものを紛失してしまったりと、様々な利便性の悪さを感じていました。

そんな中でいただいたお話だったということもあり、今回監修をさせていただきました。

『Hanaso』のウリ

このアプリのウリは何と言っても利便性にあると思います。

スマートフォンであれば場所を問わずちょっとした時間に記録作成が可能である他、紙と比べて紛失するリスクも大幅に少ないと言えます。

また、入力した評定(7段階or10段階の数字)は自動で折れ線グラフとなり、症状の経過が視覚的にわかりやすく表示されます。

私は担当しているお子さんについてはデータをExcel等に得点を入力して管理、評価していたのですが、このアプリに記録していただければ、STもお子さんの経過を一目で把握することが可能です。

あくまでも「記録」のアプリです

企画からリリースに至るまで様々な声をいただき、仕様について、またそもそもリリースして良いのかどうか何度も議論を重ねてきたのですが、最大の懸念点はこのアプリを使用することで、お子さんの吃音の「治療」ができると誤解をされてしまいかねない、という点でした。

重症度評定は親御さんがお子さんの吃音の様子を客観的に捉えること、またSTが把握しきれない日常での吃音の様子とその経過を把握するために行うもので、この記録自体が治療になるという訳ではありません

アプリのホームページでもこの点については明文化し、最大限の配慮を行なっています。

もしアプリをご利用中・ご利用予定の方でこの記事を読んで下さっている方がいらっしゃいましたら、今一度この点をご承知おきください。

『Hanaso』を使って欲しい人

前述の懸念点を踏まえ、本アプリは〝すでにSTの指導を受けている方〟及び〝これからSTの指導を受ける予定の方〟を対象としています。

個人的には特に後者の方是非ご利用いただきたいと思っています。

前者については従来の方法をより簡便化するという意味で是非ご利用いただければと思います。

後者の方のついては、今後相談する予定のSTに、それまでのお子さんの様子の経過を客観的に伝えるためのツールとして大きな役割を果たすものと考えています。

幼児期の吃音は症状の波が特に激しく、多くの親御さんがその変化に対してとても敏感になっており、どうしても悪い方に目がいってしまいがちです。

日々の症状の記録をつけることで、お子さんの吃音を客観的に捉えることができるという意味で必要以上に保護者の方が神経質になることを減らすことにも繋がるでしょうし、何より相談先に正しい情報を伝えることができます。

必要としている方にこのアプリの存在が伝わり、多くの方に使っていただけることを願っています。

支援者の皆さまへ

現在吃音のあるお子さんを担当されている医師・STの方々には、是非一度このアプリをご利用いただき、コメント等を頂けますと幸いです。

本アプリの内容に関するお問い合わせは矢田までよろしくお願いいたします。

実際に臨床の現場でこのアプリはどう活かすべきなのか、どこを改善すべきなのか、是非皆様からの忌憚のないご意見をお待ちしております。

お問い合わせは矢田のHPよりお受けしております。

アプリリリースまでに感じたこと

今回のリリースに至るまでに、保護者の方・当事者の方・支援者の方、本当に多くの方からご意見をいただきました。

そんな中、改めて今の吃音を取り巻く環境は大きく動いており、そして様々な立場の方が色々な考えのもとで活動されているのだなあと感じました。

僕個人としては当事者としての活動よりも臨床や研究をしている立場としての取り組みが目立つようになっていますが、一貫して貫きたいと思っていることは〝中立〟であるということです。

色々な主義・主張はあって当然だと思いますが、専門家を名乗る身としてはどの意見にも耳を傾け、議論をすることが大切で、義務でもあると感じています。

今後もこの立場を貫きながら、様々な形で活動していければと思っています。

 

 

『Hanaso』の詳細はこちら

https://peraichi.com/landing_pages/view/ondo-hanaso

 

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就労と吃音 - 前編 -

今日は就労と吃音について。色々と中途半端になっている記事があるものの(最近の吃音界隈〜シリーズとか)今がちょうど就活やインターンの面接時期ということでまずはこの記事から。

 今月に入ってから、吃音外来でもオンライン吃音相談でも、就労、特に就活に関する相談がちらほら。

 Twitter上でも「面接が不安」とか「吃音のことを伝えるべきか」とか、就活やインターンにおいて吃音とどう向き合うべきか悩んでいる人が多く見受けられます。

というわけで、今までにお会いした当事者の方々のお話や僕の臨床経験を踏まえて、前編では就活で吃音とどう向き合うのが良いのか、また後編ではもう少し踏み込んで吃音と合理的配慮について考えてみたいと思います。

  • 当事者が抱える悩み・不安
  • 「流暢に話せる=ちゃんと話せる」 とは限らない
  • カミングアウトは慎重に!『吃音の人』で終わらない.
  • 吃音のある人も努力は必要
  • 就活準備はお早めに
  • まとめ

 

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研究に参加してくださる方を募集しています!

研究協力者の募集です。
 
私が所属している研究室では、吃音を含む神経発達障害を有する方及び一般の方の
発話に関する認知神経科学的研究を行なっています。
 
現在は吃音のある方を対象とした下記2つの研究を行なっており、これらの研究にご協力いただける吃音のある方を募集しています。
 
1. 吃音者の聴覚情報処理に関する研究
2. 吃音の発話非流暢性生起の脳内メカニズムの研究
 
いずれも吃音の新たな支援・治療法の確立と吃音の発生メカニズムを解明するための研究になります。
 
研究の詳細は下記ホームページに記載しておりますので、ご興味のある方は是非ご覧いただき研究へのご参加をご検討いただけますと幸いです。
 
1人でも多くの方にご協力いただけると助かりますので、お気軽にお問い合わせください。
 
研究詳細
 
 
 
 
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コミュニケーション障害学会に参加しました.

昨日から今日にかけて、岡山県の川崎医療福祉大で開催されてコミュニケーション障害学会に参加してきました。

コミュニケーション障害学会への参加は今年で3回目、筆頭演者での参加は去年に続き2回目でした。

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引っ越しました

更新したりしなかったりが続いていたアメブロですが、心機一転「はてなブログ」に引っ越しました!

 

理由はいろいろとあるけれど、記事の内容にもっと幅をもたせたいなあというのが一番。

 

吃音に関することはもちろん、吃音の研究者・言語聴覚士・塾講師という自分でもよくわからない経歴を生かした情報をもっと発信してきたいなと思います。

 

今までよりも記事1つ1つは短く、更新頻度を上げていくのでご愛読のほどよろしくお願いします!

 

 

 

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オンライン吃音相談 -キャンペーンを実施中です-

今月に入ってから、外来の予約やオンライン吃音相談へに問い合わせがかなり増えています。

 

やはり新年度が近く、それに向けた不安が募る時期なのでしょうか。

 

特に学生は年度が変わると環境が大きく変わり、自己紹介をする場面が増えたり新たな人間関係が生まれたりと、吃音が気になりやすくなってしまいがちだと思います。

 

また、今月から徐々に就職活動も始まり、6月以降の本格的な採用試験に向けた不安を抱えている方も少なくないのではないでしょうか。

 

オンライン吃音相談ではこの状況を踏まえ、期間限定のキャンペーンを実施しています。

 

通常よりもご利用いただきやすい料金体系で、新年度や就職活動に向けた準備のお手伝いをさせていただきます。

 

ありがたいことにご利用者が多く、このキャンペーンも人数を限定しての実施といたしますので、ご興味のおありの方はお早めにお問い合わせください。

 

料金や支援内容の詳細はホームページをご覧ください。

 

https://online-stuttering.jimdofree.com/

最近の吃音界隈に思うこと -吃音と不安-

久しぶりの『最近の〜』シリーズは吃音と不安について。

 

ここ数年、成人の吃音臨床においては「不安」というワードが外せなくなってきている。

 

成人吃音への介入法はかつては主に流暢性形成法という、いわゆる軟起声発声を身に付けることで筋緊張の強い発話方略を修正するというものや、吃音緩和法という、ブロックではなく繰り返しにすることで楽にどもることを目指した方法など、発話に焦点を当てたものが主流であった。

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